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【水なしSTORY/Vol.2】水なしで刷ること

印刷方式としての「水なし印刷」

水なし印刷はその名の通り、水=「湿し水」を使わない印刷方式です。

水を使わないことは、様々な技術的メリットをもたらします。
とはいえデメリットも存在し、現場も一筋縄ではいきません。

そうした技術的な困難と共に、文星閣では30年もの月日
水なし印刷と共に歩んでまいりました。

今回は、「文星閣の水なし印刷」を紹介します。

「紙」を刷ること─確かな技術─

はじめに「紙」=印刷用紙に注目していきましょう。

水なし印刷では用紙が水を吸うことがないため紙が伸びず、絵柄のブレが発生しにくいことが特徴です。
印刷現場では「見当の精度が高い」とも言われ、オペレーターは絵柄の調整を比較的容易に行えます。

また、水を使用する際にかかる調整や準備がなくなることで、印刷の本番までの準備時間が短縮されます。
試し刷りに必要な予備の用紙の枚数も抑えられるので、コストの削減・生産性の向上につながります。

「紙」のメリット

・用紙が伸びないため絵柄を合わせやすく、きれいに印刷しやすい。

・印刷開始にかかる時間や準備が押さえられるので、コストパフォーマンスが高い。

では、「紙」に対するデメリットはどういったものがあるのでしょうか?

水なし印刷では、通常のオフセット印刷で使われるものよりも硬いインキが使用されます。
そのためインキの粘着力によって用紙の表面が剥がれる、ピッキングと呼ばれる印刷不良が生じやすくなります。

また水を使わないために静電気が発生しやすい、というのも大きな課題です。
重なった紙から紙へインクが付着し、紙同士がくっついてしまう裏付きが発生しやすい点や
ゴミが付きやすくなってしまう点などが、起きやすいトラブルとして挙げられます。

「紙」のデメリット

・水ありに比べて硬質なインキを使用するため、印刷不良が生じやすい。

・紙同士がくっついたり、用紙にゴミがついてしまうトラブルが起こりやすい。

Vol.1の記事でご紹介したように、文星閣は「水なし印刷」の黎明期から取り組んでまいりました。

技術的な困難をコントロールし、トラブルを抑えるためのノウハウを長年の実績で培っております。
水なし印刷にずっと向き合ってきたからこそ、対応領域も広い点が強みです。
 

文星閣の強みは?

業界随一の「水なし」技術でカバーします!

裏付き・ゴミ付きなどのトラブルへの対応力に自信があります。
独自に開発を続けた技術力で、弱点をしっかりカバーしています。

どんな薄紙にも対応しています!

絵柄の調整(見当合わせ)が難しい薄紙にも対応しています。
紙の薄さを問わず、両面機でも印刷できる点が大きな強みです。

「色」を刷ること─高精細な仕上り─

続いて、「色」=インキについて注目していきましょう。

水なし印刷ではインキが水でにじまないため、網点の再現性が高く、安定感がある点も特徴といわれています
網点の一つ一つが水でにじむことなくクリアに表現されるため、色のブレも少なく、高精細な印刷が可能となります。

網点比較

水なし印刷

アミ点比較1

円形の網点が、用紙上に正確に再現されています。

水あり印刷(通常のオフセット)

アミ点比較2

網点がインキの滲みと紙の凹凸によって変形しています。

印字比較

水なし印刷

印字比較1

小さな文字の細部まで再現されています。

水あり印刷(通常のオフセット)

印字比較2

文字を拡大すると、細部が潰れてしまっています。

また通常より硬いインキを使用していることから、インキを厚く盛った印刷が可能です。
発色の強みを生かした、コントラスト(明暗)がはっきりとついた絵柄を得意としています。

調整が難しい水の管理がないので、オペレーターがこうしたインキの管理や機械の調整に集中できるという点も、
印刷物の品質向上につながるといえるでしょう。

「色」のメリット

・網点の再現性が高いため、安定感のある高精細な印刷が可能。

・印刷物の品質管理に集中でき、インキの厚盛りやはっきりとした絵柄を得意とする。

ですが、水なし印刷が苦手とする絵柄も存在しています。

たとえば網点がくっきり再現されるために、コントラストの弱いあっさりとした絵柄の調整は苦手です。
写真集などで人物の肌が荒っぽく見えてしまうなど、滑らかさを求める絵柄も得意ではありません。

また硬質なインキの特性上、全面にインキを載せるベタ絵柄では色ムラが発生しやすくなります。
色に濃淡が出るゴーストという現象も起きやすいなど、ベタ絵柄も不向きとされています。

「色」のデメリット

・滑らかさやあっさりした絵柄など、水なし印刷の仕上がりの強みがそぐわない場合がある。

・インキが硬いため、全面にベタを使った絵柄だと特有のトラブルが起きやすい。

「水あり印刷とは得意な絵柄の領域が異なる」という点は、水なし印刷を知る上でとても重要なポイントです。

その上で、文星閣では苦手な絵柄にも対応する技術を磨いて水なし印刷を続けてきました。

文星閣の強みは?

お客様の色味にしっかり合わせます!

苦手とする領域の絵柄にも、確かな技術で対応した実績があります。
お客様の求める色味に近付ける再現力が強みです。

特色印刷にも対応しています!

CMYKでは再現できない特色に、水なし印刷でも対応しています。
色の再現性も高く、一度刷った色であれば調色に時間をかけずにリピートが可能です。

「蝶」を刷ること─環境への配慮─

水なし印刷

水なし印刷の印刷物には、蝶をあしらった「バタフライロゴ」を印刷物に掲載することができます。

鮮やかなオレンジ色の翅が特徴的な蝶・オオカバマダラは、水と空気がきれいな環境に生息しています。
しかし公害や森林開発によって環境汚染が進んだことで生息域が減少し、現在は絶滅危惧種に指定されています。

IPAと呼ばれる有害な成分を含む廃液を出すことがないため、水なし印刷は水を汚すことがありません。
水を汚さず、環境改善に取り組むことは、オオカバマダラの生息域を広げていくことにつながります。

「世界中にこの蝶の生息地を増やし、羽ばたかせたい」という願いが、この蝶に込められています。

バタフライロゴが世の中の印刷物に羽ばたくことは、印刷物から環境配慮やSDGsに取り組むことにほかなりません。

「蝶」のメリット

バタフライロゴによって環境配慮を視覚化し、環境への取り組みに対する姿勢を印刷物からアピールできる。

「蝶」のデメリット

バタフライロゴの知名度は現在も普及の途上であり、取組みについて企業側からの積極的な発信も必要不可欠。

バタフライロゴは日本WPA協会の認定を受けた、水なし印刷に取り組む印刷会社のみ使用できるロゴマークです。

しかし「水なし印刷」同様、バタフライロゴの知名度もまだ普及の途上にあります。SDGsへの意識が向上し、企業の活動が注目されている今こそ、印刷物から環境問題に取り組む意義を発信していく必要があるでしょう。

「文星閣の水なし印刷」は、苦手分野のカバーと技術力に自信があります!

水なし印刷特有のトラブルへの圧倒的対応力に加え、薄紙・特色印刷も行っております。
きれいな仕上りの印刷物をお求めの場合も、環境への取り組みを印刷物からアピールしたい場合も、まずはご相談ください!
お近くの担当営業や、お問い合わせよりご連絡をお待ちしております。

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本コンテンツはウェブサイト「note」にて代表・奥継雄が連載している
「文星閣水なし印刷ストーリー」を元に作成しています。
ぜひnoteの記事もご覧ください!

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