ハピネスアワー参加デザイナー様インタビュー④

2026年 08月 17日 ハピネスアワー参加デザイナー様インタビュー④

ハピネスアワー参加デザイナー様インタビュー④

2026年2回目のハピネスアワーで、ポスター展にご参加いただいたデザイナーの皆様へのインタビュー企画!

作品に込めた想いや紙・印刷へのこだわり、そして印刷会社とのものづくりの可能性についてお話を伺います。

今回は、グラフィックデザイナーとして活動されている阿部岳様にお話を伺いました。

シンボルマークやパッケージデザイン、各種印刷物を中心に手掛ける阿部様。地元である北海道・帯広とのつながりをきっかけに、農業をはじめとする一次産業に関わるデザインにも携わり、現在では全国へと仕事の幅を広げています。

今回のポスター制作に込めた想いや、紙・印刷の魅力、そして文星閣との今後の可能性についてお聞きしました。

地元・北海道とのつながりから広がった仕事

 

――まずは普段のお仕事について教えてください。

グラフィックデザイナーとして、シンボルマークやパッケージデザイン、印刷物など、さまざまなデザインを手掛けています。

地元である北海道・帯広とのつながりから農業に関わるデザインを手掛けるようになり、そこから少しずつ仕事の幅が広がっていきました。

「農業のデザインをしています」と言うと、「一体何をするんですか?」と聞かれることも多いのですが、今では北海道に限らず、日本全国の農業のデザインに関わっています。

文字が生まれる瞬間を表現したかった

 

――今回のポスター展では「BEYOND PRINTING」をテーマに作品を制作していただきました。作品に込めた想いや、制作時に意識されたことについて教えてください。

まず興味を持ったのが、はじきニスとコーターニスの組み合わせでした。

工場見学で初めて知った技術だったのですが、同じニスでも使い方によって見え方が大きく変わることや、ニスを2種類使うこと自体が印象的でした。

せっかくなら、その効果がしっかりと伝わる作品にしたいと思いました。

デザインのテーマとして考えたのは、「言語以前の形」です。

もともと文字は象形文字のように、身の回りの物の形を表現するところから生まれたものですよね。

デザインの原点をたどっていくと、文字という存在に行き着く気がしています。そして文字を突き詰めて考えていくと、新しい文字が生まれる瞬間や、まだ文字になる前の曖昧な形の面白さが見えてくるんです。

そこで今回は、「文字になる前の形」や「文字が生まれる瞬間」をテーマに、ニスの表現も活かしながらデザインを構成しました。

デザイナーごとの発想の違いに驚いた

 

――展示会場で他の参加者の作品をご覧になっていかがでしたか?

とても刺激を受けました。

同じテーマや印刷表現を使っていても、出来上がる作品は一人ひとりまったく違います。

ニスの使い方ひとつを取っても、考え方やアプローチがそれぞれ異なっていて、発想の広がりを感じました。

同じ条件から出発しても、それぞれが違う方向へ表現を発展させていく。そこにデザインの面白さがあると思います。

デジタル時代だからこそ感じる紙の魅力

 

――デザイナーの立場から見て、紙や印刷ならではの魅力は何でしょうか?

やはり、実際に手に取れることだと思います。

スマートフォンなどの画面で多くのものを見ることができる時代ですが、紙には質感や重さ、手触りなど、実物だからこそ感じられるものがあります。

実際に印刷物として出来上がったものを見ると、画面の中だけでは得られない感覚があります。

デジタル化が進んでも、実際に手に取ることのできる媒体として、紙や印刷ならではの価値は残っていくのではないかと思います。

印刷会社だからこそ知っていることを共有してほしい

 

――印刷会社に期待することはありますか?

デザイナーの側では知らない印刷技術や表現方法が、まだまだたくさんあると思います。

印刷会社の方にとっては当たり前のことでも、私たちデザイナーにとっては知らないことが意外と多いんですよね。

技術や素材、加工について知る機会があれば、そこから新しいアイデアが生まれたり、仕事の提案につながったりすると思います。

印刷会社が持っている知識を、発信してほしいですし、デザイナーと共有できる機会がもっとあると面白いですね。

工場見学で感じた「現場の力」

 

――今回、文星閣の工場見学はいかがでしたか?

まず、工場がとてもきれいだなという印象を持ちました。

実際の現場を見ることができたのも、とても良い機会だったと思います。

印刷会社の方にとって当たり前に行われていることでも、デザイナー側からすると知らないことはたくさんあります。

だからこそ、実際に工場へ足を運び、現場の方と直接話すことには大きな意味があると感じました。

現場の方との対話から、新しい表現に挑戦したい

 

――今後、文星閣と一緒に挑戦してみたいことはありますか?

特殊な印刷を使って、これまでにない表現に挑戦してみたいですね。

デザイナーの側にも、「これはできないんじゃないか」「こういうことは難しいだろう」と、知らないうちに自分の中で制限をつくってしまっているところがあると思います。

でも実際には、単にこれまでやったことがないから、できるかどうか分からないだけ、ということもあるのではないでしょうか。

そういうときは、やっぱり現場の方と話さないと分からないんですよね。

こちらから「こんなことができないだろうか」とアイデアを出して、それに対して工場の職人の方から「それなら、こういう方法もありますよ」と提案していただく。

そうしたディスカッションの中から、新しい表現が生まれてくるのだと思います。

仕事として何かをお願いするときだけではなく、デザイナーと現場の方が一緒に実験したり、新しいことにチャレンジしたりする機会があると面白いですね。

印刷会社の皆さんにとっては当たり前のことでも、私たちにとっては当たり前ではないことが、きっとたくさんあると思います。

おわりに

今回のインタビューでは、阿部様のお仕事からポスター制作への考え、紙・印刷の魅力、そして印刷会社とのものづくりの可能性についてお話を伺いました。

中でも印象的だったのは、デザイナーと印刷現場の方が直接言葉を交わすことから、新しい表現が生まれるのではないか、というお話です。

デザイナーが「できない」と考えていることも、現場の知識や経験と組み合わせることで、実現への道が見つかるかもしれません。一方で、印刷会社にとって日常的な技術や知識が、デザイナーにとっては新たな発想のきっかけになることもあります。

お互いの「当たり前」を共有し、アイデアを出し合うことで、これまでにない表現へとつなげていく。今回のハピネスアワーや工場見学は、そんな可能性を感じられる機会となりました。

文星閣では今後も、デザイナーの皆様と現場のスタッフが知識やアイデアを交わしながら、紙・印刷だからこそできる新たな表現に挑戦してまいります。

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インタビュー協力

株式会社ファームステッド 代表取締役/アートディレクター 阿部 岳 様

北海道帯広市出身。企業や商品のブランディングデザインをはじめ、農業・食・地域をテーマとしたデザイン活動を展開。2013年に株式会社ファームステッドを設立し、日本各地で農業や一次産業の価値を伝えるブランドづくりに取り組まれています。

グッドデザイン賞をはじめとする受賞歴を多数持ち、講演活動や著書を通じて、デザインによる地域活性化の発信も行われています。

▶ 株式会社ファームステッド
https://farmstead.jp/

このたびはインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。

 

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